熱性けいれんの頻度は4〜7%で「よくある病気」のひとつです。
5歳までにほとんどが起こさなくなり、6歳以降に生じることはまれです。
多くのの熱性けいれんの発作は、数分でおさまり、脳に障害をきたすことはありません。
熱性けいれんは、ほとんどが1回のみですが、30〜40%に再発が認められます(10%が3回以上の熱性けいれんを起こします)。
熱性けいれんを起こしたお子さんの中から将来てんかんを発症するのは2〜7%と多くはありません。
熱性けいれんが原因で知能が低下したり、情緒障害が生じたりすることはありません。
再発したときに何をしたらいいのかこちらのページを熟読しておきましょう。
再発の予防:再発を予防する方法はありますが、再発を予防したからといっててんかん発症の予防効果は認められません。
1.自然放置とする場合:過去の熱性けいれんが2回以下で、以下の要注意因子がないときは、予防等は必要ありません。熱が出てもけいれん予防の坐薬(ダイアップ等)を使用しないでOKで自然放置とします。
要注意因子:
A.発達の遅れや神経学的異常がある。
B.1歳未満で発症した。
C. 両親または片親に熱性けいれんの経験がある。
D.けいれんが片側だった(左右差があった)。
E.けいれんが15〜20分以上続いた。
F.24時間以内に繰り返しひきつけた。
G.両親または片親にてんかんの方がいる。
2.発熱時にけいれん止め坐薬等による予防を必要とする場合:
A. 15〜20分以上けいれんが長引いた場合、
B.過去に2回以上発作を経験してかつ要注意因子が2つ以上陽性の場合、
C.短期間に発作が頻発する場合
以上のいずれかに該当する場合、けいれん予防坐薬等で予防を試みることがあります。予防実施期間は通常2年間、もしくは5歳までを目標とします。
注意:1.37度台で発作を起こす場合にも薬物療法が必要になる場合があります 2.自然放置して経過観察中に治療が必要になる場合があります。
参考:要注意因子のD.E.Fのいずれか1つ以上を認めるものを「複雑型」、いずれも認めないものを「単純型」といいます。
検査:CT・MRI等は初回の発作でも単純型の場合は必要ありません。熱性けいれん以外の病気が隠れている可能性があるときに行われます。脳波検査も、てんかんへの移行・再発の予測などの参考にはならないので熱性けいれんをおこした方全てに行う必要はありません。
解熱剤の使用:発熱時に熱冷まし(解熱剤)を使用してもけいれんを予防できることは証明されていません。また、解熱剤を使用し、いったん解熱した後、再度発熱するときにけいれんを誘発してしまうという危険も証明されていません。解熱剤の使用に関しては、けいれんを経験したことのないお子さんと同じ対応でよいでしょう(従来からお話しているように「解熱剤は必要最小限にとどめる」という方針でOK、必要な場合は使用可)。
予防接種:基本的には可能です。別の病気の先行症状としてのけいれんの可能性を考慮して、熱性けいれん後2〜3ヶ月間は控えましょう。

 

2007年5月   白十字小児科医院

 

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