外来で包茎を心配されるお母さんが結構いらっしゃいます。包茎の頻度をわかる範囲で調べてみました。

ここで「包皮をむく」「亀頭が露出する」ということばの意味が解らない方は、お父さんか誰かに確認してから先に読み進みましょう。 

殆どの乳児は包茎です。それが加齢と共に亀頭露出可能な率が上昇します。包皮をむいて亀頭が頭をだすことができる頻度は:(乳児1627名、3歳児628名を調べて)1〜3ヵ月 :4.3% 、10〜12ヵ月:24.9%、 3歳児:40.5%であるとのことです(今村栄一:乳幼児における包茎の統計的観察.日本小児泌尿器科学会雑誌、1:101,1992) 

包皮と亀頭の上皮は元々癒着していますが、しだいに分離して行きます。徐々に自然にはがれる場合もあれば、包皮と亀頭の間に垢(恥垢といいます)がたまってこれが癒着を剥がしてゆく場合もあります。この過程は個人差が多く新生児期は90%がまだ癒着。6歳児でも完全に分離できるのは40%です。 

父親本人へアンケート形式で、亀頭の露出する時期がいつが普通か(父親の認識)を伺ってみますと、50%が中学生で、25%が高校生で、それ以降と答えた方も多くいます。そんなに日本人は早い時期に亀頭は露出していないことが判ります。かえって母親の方が包茎に関して関心が高いそうです。(北谷秀樹他:小児の包茎に関する意識調査−治療指針の一助として−.日小外会誌、32:884,1996)


この様に解剖学的変化が思春期まで継続していると思われるので、少なくとも小学校高学年までは、「毎日お風呂で、かるくむいて石けんで洗う」程度で自然経過をみるという方針でよいと思います。

例外としては、亀頭包皮炎を繰り返し癒着や包皮の瘢痕化が強い時、排尿時包皮が風船様に膨らむ場合などは小児外科や泌尿器科へ紹介しています。逆に、無理に包皮を反転させる事で炎症を起こしたり、嵌頓陰茎(皮が反転したままもどらなくて亀頭をしめつけてしまう緊急事態)をおこすことがありますので注意が必要です。

安心しましたか? 結構ほっておいていいんですよ。