すり傷や虫刺され、あせも、湿疹などに化膿菌が入りこんで水ぶくれができ、それをかきこわした手で他の場所を掻き、そこが化膿する、そういったものが体のあちこちにたくさんできている状態を「とびひ」といいます。

虫に刺されたところが痒いので、汚れた手で引っ掻いたら細菌がくっつきグチャグチャしてきた、その部分をかいた手で他の所をかいたら、そこにも細菌が「飛び火」してグチャグチャしてきたというのが、この病気の典型的な経過です。

擦り傷が化膿して、そこからあちこちに広がる場合とか、鼻の入り口にできたおできを引っ掻いた手で他の所をかいて広がるという場合もあります。黄色ブドウ球菌や溶連菌などが皮膚にくっつき増殖したために起こる病気で、細菌感染症です。

高温多湿の夏、特に8月に圧倒的に多発します。何らかの原因(傷、湿疹、虫さされなど)で健康な皮面が傷つき、そこに菌が付着し、加えて高温多湿というばい菌が増えやすい環境のもとで発病します。

治療は、皮膚病ですから塗り薬だけでもよさそうですが、あちこちにとびひしますので、原則としては有効な抗生物質を充分な期間飲み続けることがよい治療法としてすすめられています。

入浴が治癒過程に悪影響を及ぼすことはありません。皮膚を清潔にし、汗をとったほうがよいと思います。シャワーで石鹸を使って体の汚れを洗い流し、その後軟膏を塗ってあげましょう。爪は短く切り、手は石鹸で毎日何度も洗いましょう。プールはとびひが乾いてかたまるまでは入らないようにしましょう。

抗生物質は平均5日間位飲めば、皮膚の状態はほとんどよくなります。患部を覆うことは伝染を防ぐためには必要ですが、密閉しすぎたり不潔な状態のまま放置すると、治療を妨げることがあります。

保育所・幼稚園は、とびひの程度にもよりますが、炎症症状が強い場合や広い範囲の場合には、数日間休んでもらうことがあります。軽症で集団の場に出てよい場合でも、病巣を有効な方法でおおう必要があります。

個々の病巣全てが充分乾燥して、赤みがとれれば「伝染しない」と考えてよいのですが、引っ掻いて再びばい菌が付いてしまった場合や、皮疹やその辺縁に少しでも赤みが残っている状態で治療を止めた場合など、再発することがあります。

抗生物質を飲み始めて2ー3日経過しても水ぶくれが増えるとき(使用中の薬が効かない耐性菌かもしれない?)、顔や体が赤く腫れてきたとき(皮膚の深部に炎症が及んだ?)、熱がでたとき、患部がなかなか乾燥しないときなどは、必ずもう一度受診をしてください。

 

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