赤ちゃんを泣きやませるためにおしゃぶりを使うお母さんが増えていますが、日本小児科学会や日本小児歯科学会の会員らで作る「小児科と小児歯科の保健検討委員会」が、歯並びなどに影響を与える恐れがあるとして、常用しない方がいいとする見解を公表しました。

 年齢とかみ合わせの調査では、おしゃぶりを常に使用している子どもは、使用しない子どもに比べ、前歯の上と下が開いてしまう「開咬(かいこう)」が現れる率が高いそうです。乳歯が生えそろう2歳半以降も使用すると、かみ合わせの問題も残るといいます。

 また、親が泣きやませる手段として習慣的に使っている状況があるため、「子どもがなぜ泣いているか親が考えなくなる」「子どもの発語の機会が減る」など、親子の大切なコミュニケーションを阻害しかねないと指摘しています。

同委員会は、

〈1〉言葉を覚える1歳を過ぎたら常用しないようにする

〈2〉遅くとも2歳半までに使用を中止する

〈3〉おしゃぶりを使用している間も、

            声をかけたり一緒に遊んだりして子どもとふれあう

〈4〉4歳以降もおしゃぶりが取れない場合は、

            情緒的な面を考慮して小児科医に相談する

 

――との見解をまとめました。

 

 一方、簡単に泣きやむ、静かになる、母親の育児ストレスを軽減する――などの利点も認めています。

 大手育児用品メーカーの調査では、乳幼児がいる家庭のおしゃぶり所有率は2000年の55%から、2003年の71%にアップしているそうです。同委員会副代表の高木裕三・東京医科歯科大大学院教授は「おしゃぶりは鼻呼吸やあごの発達を促進する効果があるなどといわれるが、医学的な根拠は確かめられていない。使い方に注意を」と話しています。