最近こども達の間で「キレる」ことが問題になっています。事件でマスコミに上るようなものから、小さなことまで様々です。「キレる」ことの原因については家庭の問題やストレスなどが挙げられていますが、それらは正しいのでしょうか。確かにこどもに限らず大人の世界でも、ストレスは年々増加傾向を示していることも事実です。しかし、ある人にとってストレスであっても、他の人にはストレスにはならないこともあるのです。戦争や飢饉などの惨状が大きなストレスになることは確かですが、かといってこどもの自殺の割合が高いわけではありません。


 では本当の原因は、どこにあるかというと次のようなことも考えられているのです。「耐性の欠如」です。この場合の耐性とは、欲求不満に耐えうる力と定義されています。欲求が満たされない状態でも、不適切な行動を起こさないことと考えてもいいでしょう。別名「心のブレーキ」とも呼ばれているものです。
 福岡教育大学教授の横山正幸先生は子供達の耐性がなくなってきた原因として、いくつかの問題をあげていました。一つは「道徳」が教育の中で軽視されてきたことです。また「我慢することはいけないこと」つまり「こどもの欲求不満はいけないことである」という考え方が続いていたこともその一つです。それから、耐性というのは生まれたときから少しづつ発達していくものなので、親の養育態度・家庭環境が大きく関係してきます。単なる過保護ではなく、「放任と過干渉が混在した過保護」が耐性の発達をさまたげると言われています。

そしてもう一つの原因として指摘されたことは、「無遊病のこども達」ということです。遊びを知らないこども達という意味であって、夢遊病とは違います(「夢」ではなく「無」)。こどもは仲間と遊ぶことによって、集団の中での規律をまもり、耐性を獲得していくのです。遊びの集団に所属するために、自分を我慢させることを学んでいくのです。その遊びが崩壊したことが、子供達の心の耐性がなくなってきたもう一つの要因となってるのです。


 ではどうしたら良いのでしょうか。まずは「耐性」の重要性に、目を向けましょう。この記事の中でこの言葉を覚えただけでも、一つの進歩かもしれません。またこどもの心の核は親の元で作られていることを、もう一度認識して欲しいのです。こどもが少なければ、ある程度過保護になることはやむを得ません。しかし、放任と過干渉が混在する過保護がどんなに子供の耐性の発達を妨げるかに気付いて下さい。

これからはこどもに任せてみて下さい。勝手な先取りはしないでください。必要以上のものをあげないようにしてください。多少の失敗や挫折は誰にでもあるものです。そんなこどもの状態を気にしないだけでなく、親自身が余裕を持つことが大切です。。そしてこども達が目を輝かし、楽しく遊べる環境作りを、みんなで考えてあげましょう。