乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況および剖検によってもその原因が不明であり、乳幼児に突然の死をもたらす症候群」と定義されています。わかりやすくいうと、健康な乳幼児が、突然亡くなってしまい、その理由をいろいろ調べてみても何も見つからない“乳幼児の突然の死”をいいます。症候群と呼ばれるだけあって、その原因はいくつもの可能性が示唆されてきましたが、まだ確実なものはみつかっていません。


 だだし、これまでの研究からSIDSのリスク(危険因子)のひとつとして睡眠時の「うつぶせ寝」があげられています。うつぶせ寝でSIDSが増加することが判明してから、米国でうつぶせ寝を避けるように啓蒙運動を徹底したところ突然死の頻度が約半分に減少したそうです。また、昨年の英国の調査で、うつぶせ寝と横向き寝の睡眠姿勢がリスク因子であると報告されました。その研究では、しばしば寝返ってうつぶせ寝になる横向き寝のベビーのSIDSのリスクがうつぶせ寝のベビーのリスクの2倍あるということが発見されました。

さらに重要なリスクとして、喫煙があげられています。出生前の妊婦が喫煙していた場合ではSIDSのリスクが2倍になり、出生後の両親の喫煙はさらにリスクを高めること、そして喫煙は際立った本数依存性(喫煙の本数が多いほど、SIDSのリスクが高くなる)を示しました。


 ちなみに日本でのSIDSの発生頻度は2000人に1人と推定され、生後2〜5カ月に多く、6カ月 未満がほとんどではあるが2歳までは発生する可能性があります。 

うつぶせ寝、横向き寝からのうつぶ寝、そして親の喫煙...