夜中や休日に突然熱が出たり、吐いたりということはよくあることだろうと思います。

かかりつけがあいていないときに限って子どもは熱を出したり吐いたりする。時間外というと救急外来に行くことになりますが、ちょっと待って下さい。私も月に4〜5回の当番医と月に一度くらいの割合で大岡の夜間救急診療所に出動します。この時においでになる子どもさんのおよそ9割は別に今すぐ何かしなくてはならない状態ではありません。翌日かかりつけの小児科に行けばそれで間に合うような症状です。親としては何となく心配、様子をみていいかどうか判断ができないということのようです。(仕事が今終わったからとか夜の方がすいているので待たなくてよいので、という様な方も見かけますが、こういう受診は今の救急体制の中では「困った人」に分類されます)


1. まず、熱の場合ですが、熱が出てすぐにどうにかなるようなことはまずありません。多少ぐずるのは仕方ありませんが、飲んだり食べたりができている、眠れている、まずまず元気であるというような状態なら少し様子を見てみましょう。顔色が悪い、ぐったりしていて反応が悪い、ひきつけた、などは要注意のサインです。この場合は連れて行きましょう。

2. 嘔吐は本人も苦しくまわりも不安になり心配なことが多い症状です。高熱があり吐いている、吐き続けて水分がとれなくなった、周期的に大泣きをしてぐったりしている、とにかく機嫌が悪い、などの症状であれば救急外来を受診して下さい。吐いたけれどその後はけろっとしているというような場合は、しばらく絶食にして水分から始めれば吐き気はおさまってしまうことがよくあります。

3. 下痢は嘔吐に比べると緊急性は低いです。血便や嘔吐を伴う様な下痢では緊急の対処が必要なことがありますが、下痢だけで水分がとれる状態なら翌日まで待っても大丈夫でしょう。

4. 腹痛:便秘の可能性を考えうんちをさせてみましょう。強い腹痛がおさまらないときはあまり我慢させずに連れていった方がよいでしょう。

 

「家庭での重い病気の見分け方」にも記載してありますが、

共通して注意すべき最も大切なポイントは

「子供の三大特権」:

1.遊ぶ 

2.食べる 

3.眠る

という3点が保たれているかどうかです。

これらのどれか一つでもしなくなったとき、すなわち、

遊ばないで、オモチャに手をのばさなくなり、ぐったしている。

一回位は食事を抜かすことはよくあるが、二食以上全く食べなくなる。

すやすやと眠らず、眠りも浅く熟睡できない

こんな症状が現われたら注意してみながら救急外来の受診を検討する必要があります。

逆にいうと、40度の熱がでていても、オモチャで遊んで、食欲もまあまあ保たれ、寝ているようなら、慌てる必要はなく、夜中でしたら明日まで待てると判断してよいでしょう。

大切なのは、最高の観察者であるお母さんの

「何かおかしい、いつもと違う」という直感です。


夜になると同じ症状でも不安が大きくなるものです。急病の時もあわてずに子どもの様子をよく観察してどういう状態にあたるか考えてみましょう。そうした経験を積んで親としての判断の幅が出てくると思いますし、自分の感覚・判断力をみがき大切にしてゆくことが可能となります。