子育て中のパパ、ママ、タバコを吸いますか。

子どもは、普通(?)タバコを吸いませんが、パパやママの吐く煙を吸うことによって(受動喫煙といいます。喫煙者の吐く煙の混じった空気を受動的に呼吸させられる状態のことです)、いろいろな被害を受けることがあります。子どもとタバコとの関係は昔から、子どもが一方的に被害者になる点で問題が大きいといえます。

大きく分けて、次の3つの被害が考えられます。

受動喫煙の害 : 副流煙の恐怖


★★ タバコそのものよる被害 ★★

 タバコを誤って飲むことは、小児の薬物中毒事故で最も多いものです。

ニコチンが吸収されると、軽い場合は唾液が多くなったり、嘔吐がでたり、顔面が蒼白になったりしますが、重症ではふるえや激しい下痢、冷や汗、呼吸麻痺などが起こると言われています。実際に酸性の胃液の中では、タバコからニコチンが溶け出るのは遅いのですが、タバコの火を消すために水を入れた灰皿にタバコを捨て、子どもが誤ってこのタバコの溶けた水を飲んだとしますと、ニコチンの吸収が速く、瞬時に死亡することがあります。

子どもの誤燕は親の不注意で子どもは被害者であることをよく認識しておく必要があります。

救急処置は、吐かせることです。牛乳か湯冷ましを飲ませて、頭を低くして、腹這いにして膝の上に乗せ、のどを刺激して吐かせます。

タバコを食べたと確信したときには、必ず医療機関に連絡してください。状況にもよりますが、胃洗浄(胃に太いチューブを入れて胃内容物を洗い出す処置)をすることがあります。


★★ タバコの煙による被害 ★★ 

 タバコの煙には刺激性があり、のどが刺激され、咳がひどくなることはよく経験されると思います。子どもは気道の粘膜が敏感で、ちょっとしたことで咳がでたり痰が出たりします。子どもの風邪がなかなか治らないとき、よく聞いてみますと、家庭内に喫煙者がいたりします。

子どものいる家の中では喫煙をしないでください。部屋を分けてもだめです。ベランダでお月様でも眺めながら、瞑想にふけって、外で喫煙してください。とりわけ、喘息の子どものいる家庭では喫煙は禁忌です。


★★  胎内での被害 ★★ 

 母親が妊娠中に喫煙しますと、胎児が被害を受けます。皆さんは、タバコを朝一服深く吸い込んだとき、頭がくらくらしたという経験をしたことがあると思います。これは、タバコの煙の中の一酸化炭素が体内に取り込まれ、酸素の代わりに赤血球の中のヘモグロビンと結びついて、組織へ運ばれます。その結果、組織の酸素が不足して、とりわけ酸素の不足に弱い脳の機能が落ちて起こる現象です。

母親が妊娠中にタバコを吸い続けますと、お腹の中の赤ちゃんは、いつもこんな酸素不足の状態に置かれます。結果として、胎内での発育が悪くなり、体重が小さくなったり、胎内での環境が悪いため早くに生まれたりして、生まれたときの体重が小さい「低出生体重児」になります。


★★ 将来の発ガン性 ★★ 

 喫煙者自身の喫煙による発ガンの危険が増すというデータはたくさんあります。そのリスクは喫煙を始めた年齢が若いほどその子の将来の発ガンの危険は増します。喫煙者を親にもつ子供が、受動喫煙により発ガンの危険が増すかどうかについては、どの程度研究が進んでいるのか現時点ではっきりしません。

しかし、これまで述べてきたことより、こどもの前で喫煙することは、毒を吸わせているに等しい行為であるとの認識を持つべきでしょう。