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タバコが子どもの健康に及ぼす影響の大きさについて説明します。

皆さんの中には、タバコが肺がんや心筋梗塞(こうそく)などの原因になり、受動喫煙(喫煙者のみならず、周りの非喫煙者にも煙りを吸わせてしまうこと)によって家族の寿命まで縮めていることを知りながら、やめられないでいる方も多いと思います。

「換気扇の下で吸っているから大丈夫」「子供の前では吸わないようにしている」とおっしゃる親御さん!皆様にも是非お伝えしたいと思います。

 

まづ始めに、大切な質問:「皆様は自分のお子さんを将来タバコを吸うように育てたいと考えていますか?」


 タバコには依存性があり、いったん吸い始めると禁煙は簡単ではありません。 お子さんを喫煙者に育てたいと願っている親はいないはずです。すべての子どもが一生タバコに手を出さなくなれば、タバコ問題は一気に解決するのです。 しかし、わが国では逆に未成年の喫煙者が増え、低年齢化しています。1996年の調査では、中学一年生男子の3人に1人、女子の6人に1人に喫煙の経験があり、中学生での喫煙経験率は過去20年で約2倍に増加しているのです。

喫煙開始年齢が低いほど依存性が強くなり、発がんや死亡のリスクは高くなります。未成年でタバコを吸い始めた人は、非喫煙者に比べて5.7倍も多く肺がんで死亡しているのです。

子どもに対するタバコの害は、母親の喫煙による低出生体重、早産、周産期死亡、乳幼児突然死症候群の増加、受動喫煙による気管支炎・肺炎や気管支喘息(ぜんそく)、中耳炎の増加、さらにはタバコ誤飲事故や火傷、火災による死亡、父母の喫煙による疾病や若年死、喫煙による経済的損失など枚挙にいとまがありません。

さらに、喫煙家庭で育った子どもは大きくなってタバコを吸い始める率が高くなるという点は重要です。喫煙者の子どもは、喫煙に対する心理的な抵抗感が少ないのです。また、喫煙者は一般にタバコの害を知らず、子どもの喫煙を見て見ぬふりをする傾向にあります。中・高校生の2〜5%が親からタバコを勧められたことがあるという驚くべき数字もあります。そして、喫煙者となった子どももタバコ関連疾患によって早死にし、悪い連鎖は孫の代に引き継がれていくのです。

この連鎖を断ち切るためには、まず親や教師、地域の人たちがタバコの害についての正しい知識を持ち、子どもに無煙環境を与えるよう取り組んでいくことが必要です。 小学生のうちからの喫煙防止教育が必要と考えます。

具体的には、学校の完全禁煙化、屋外自動販売機や広告の規制、タバコ税の大幅増税、テレビドラマにおける喫煙シーンの規制、喫煙は格好悪いという価値観形成を助ける教育などにより、子どもがタバコに手を出しにくくする環境をつくっていくのです。 ニコチン代替療法(ガムやパッチ)の進歩により、禁煙のハードルは低くなっています。

両親の禁煙と子どもへの防煙教育は、子どもの健康な一生への何にもまさる贈り物なのです。